【レビュー】時代小説『蜩ノ記』武士の深さをこの本に見たり!

蜩ノ記

久しぶりに読んだ時代小説『蜩ノ記』が面白かったのでご紹介。国語教師をしている人に頂いた本なのだが、「最後の方は正座しながら読みました!」などと読む前から好評だったのでガッカリしたくない気持ちや、「正座して読むって重そうだな。」などと思いなかなか読めずにいた。

しかし、読んでみるとなるほど納得の仕上がりで心を動かされる作品だった。「正座」というワードも読み終えてみると心に落ちる。しかもかなりいい意味で。ということでネタバレも少なめでご紹介したいと思う。

目次:

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時代小説:『蜩ノ記』あら筋!

舞台は江戸時代、豊後羽根藩。武士の檀野庄三郎は些細なことから刃傷沙汰を起こしてしまう。本来なら切腹であるこの不祥事を、あるお役目に従事することで死罪を免れることになる。同藩の元役人で向山村に幽閉されている戸田秋谷という男を監視せよというお仕事だ。

秋谷は藩主の側室とイチャイチャしただろ!しかもイチャイチャを目撃した人を斬っただろ!という廉で10年後の切腹と、切腹までの間に家譜編纂をするよう藩より命じられていた。

ということで、庄三郎は家譜編纂のお手伝いという名目で戸田秋谷の一家と同居生活を始めることになる。

始めこそ、庄三郎は「嫌なお役目を命じられてしもうた・・・。でも切腹嫌だしな・・・。」という感じで仕方なく向山村で暮らすものの、秋谷の清廉な人柄に触れ次第に引かれていくことになる。

『蜩ノ記』読んでみて・・・感想。

ぼくは武士ではない。武士になりたいとも思わない。そんなぼくでも心がグラングラン動いた作品だった。

日常の些細な事にブンブン振れる心の振り子。秋谷という武士のドカッと揺るぎのない生き方は、心からそのようにありたい思わされた。

自分の死が少しずつ歩み寄る状況でも、自分であることを忘れずに、信じた「正しい道」を歩み通す。その精神は大波のような力強さと優しいさざ波の両方をイメージさせる。

何時の時代でも、私利私欲に動かされる人間は多い。その中である種異質な者として自分という存在を守り通すことを、美しく、そして優しく描いた作品だった。

こんな人にお薦めでござる!

当小説『蜩ノ記』は時代小説でありながらサスペンス要素も含んでいる。そういう意味ではサスペンスが好きな方も楽しめる小説だ。「はふはふ、これどういうこと?次どうなっていくの?」といった感覚で読み進めることができる。

もちろん時代小説が好きな方も楽しむことができる。百姓の生活や田舎の情景だけでなく、江戸時代の社会構図みたいなものも上手に描かれている。

よく外国人の友達から「サムライ」というワードを耳にするが、日本人として侍・武士とは何か、深く理解していない気がする。武士である戸田秋谷の生き方や考え方は「武士って一体なんだろうね?」という問いに一つの答えをくれる小説でもある。つまり、「武士」についてもう少し詳しく知りたい人、更には現代の日本人も受け継いでいるであろう精神性を学びたい人にもいいかもしれない。

「善く生きる。」ことについて考えたい人にもお薦めだと思う。この小説の中にその答えが明確な形で示されてはいないにせよ、間違いなく生き方を模索する人の心に何らかのヒントを与えてくれる一冊だ。自分の心を覗いてみても、何やら形にならない波紋のようなものが心の中でフワフワとしているのが窺える。今後、アナタの考え方として形作られる何か。そういうものを見付けたい方にも素敵な一冊であると思う。

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