成人式で街にはきれいに着飾った若者たちが溢れかえっている。10年以上前だが僕にも成人式はあった。当時、成人式というのは単なるイベントの一つにしか考えていなかったが、年をとってみると通過儀礼も悪いものではないと思うようになった。実際に迎えてみるといろいろと感じるところがあったからだ。
10年以上も前、僕が成人式を迎えた日に出会ったおっさんカメラマンのことを今でも昨日のように覚えている。
メディアは相変わらず成人らしからぬ若者を映すのが好きだね!
毎年のことだけれど、メディアは酒を飲んで式典を邪魔するむちゃくちゃな新成人を取り上げるのが好きだ。大人としての自覚が足りないとか、なんやかんや好き勝手なことを言う。
その通りだとも思うが、恐ろしく極端な例を拾ってきて大騒ぎするからタチのいいものではない。今年も出てくるのだろうか。もう飽きたのだけれど。
成人式で出会ったおっさんに感じたこと
成人式ではアマチュアカメラマンたちが集まる。彼らは競ってユニークな被写体を見つけ写真を撮る。
アマチュアと言っても、やはりいい作品を取りたいという自覚はあるようで
「笑ってぇ!」
だとか
「ピース!ピース!」
だとか、プロ気取りだろうか。新成人の気分を載せようと頑張っている。何かに投稿したいと思っているカメラマンもいるのだろう。
僕たちは成人式を終え、式場の前で友人たちと記念写真を撮っていた。新成人といっても、僕はすでに社会人としてのスタートを切って数年が経っており車も持っていた。かなりごついアメ車である。
僕の役目は、成人式が終わってから友人達を家まで送り届けることだった。友人達を拾うために式場の入り口に車を回した。
もちろん成人式なので、友人もみな袴やきれいな着物に身を包んで「あっぱれ」な外観であった。
ごついアメ車と派手な新成人。これがアマチュアの写真家にとってはたまらなかったのだろう。車に乗り込んで出発しようとすると5,6人のおっさんカメラマンが車を取り囲んで勝手に写真を撮り始めた。マナーのいいものではない。
僕たちは、すでにひとしきりはしゃぎ終わったところなので、「もういいから」という具合におっさんたちのシャッター音にはあまり乗り気ではなかった。
だが、せっかく見つけた被写体におっさん達も必死だった。なかなか車を発進させてくれない。
「もっとはしゃいだ感じで!!」と、頑張って僕たちのテンションを上げようと仕掛けてくる。
僕はあるおっさんの一言に驚愕した。
「もっとこう、ほら!箱乗りとかして!!」
おいおいおっさん。それはどうかと思うぞ。あんたたちが新成人を煽ってどうする。「何言ってんだおっさん」と思い、無視して車を発進させた。
大人ってなんだろうな。良くも悪くも子供たちは大人の背中を見て真似る。子供は社会の鏡とはよく言ったものだ。素行の悪い子供を仰々しく騒ぎ立てて問題視するということは、その社会に住む大人たちの落ち度をさらけ出しているということでもある。
今、大人になって思う。子供達に「立派な大人」になってほしいと願うなら、自分たちからそのメッセージを行動で示していくべきだ。自分が大人になってその難しさも実感するが、少なくともあるべき行動の「振り」くらいはしようと努めるべきなのだと思う。
「立派な大人」や「いい社会」がどんなものなのか、僕にははっきりとは分からない。でも少なくとも他人と自分に優しくあれる。そんなことが当たり前の社会であればいいと思う。
成人式を迎えたみなさん。本当におめでとうございます。これからも今までと同様、辛いことも嬉しいこともあることでしょうが、前を向いて生きていけるよう応援しております。
合わせてどうぞm(__)m