フランスから友人がやってきた。彼女は昔日本へ留学しており働いていた経験もある。その彼女が妹の誕生日祝いに日本旅行をプレゼントすることに。妹さんは日本に来ることがかねてからの夢であったらくし、チケット代、ホテル代など全てオネェちゃんが出してあげるというなんとも太っ腹で妹思いのプレゼントだ。
そんな暖かいお話を聞かされて黙っておることもできず、是非楽しんでもらいたいと腕をまくり仕事をほったらかしてガイドとして1週間付き添うことにした。
日本人にとって当たり前のことでも、初来日の外国人には珍しいことは多い。妹さんが嬉しそうな顔をしたものを22個挙げていくことにする。
日本に来たくて仕方なかったフランス人が喜んだこと22個!
彼女は、アニメや音楽など日本のサブカルに興味を持つ25歳の女の子だ。かと言ってオタクというわけでもなく、かなりのファンキーさも持ちあわせておる。その人の好みや特性もあるだろうから、あくまでも個人の意見として参考にしておくれやす。
フランス人は自動販売機に喜んだ!!
日本ではいたるところに自動販売機があるが、フランス人ははしゃいで写真を撮りまくっていた。治安が良くない地域で自動販売機などを置くと、貯金箱を置いているようなものでお金を盗まれてしまうのだ。いたるとこに自動販売機があるのは、治安良しの日本ならではの風景で新鮮だった模様。
着物の日本人に喜んだ!
卒業シーズンだったこともあり、繁華街では卒業式を終えた着物姿の大学生グループが輪を作っていた。これにフランス人は喜んだ。「写真を撮ってもいいのかしら?」とモジモジしていたので、お願いして一緒に写真を撮ることに。日本の伝統的な着物をまとった集団というのが彼女のテンションゲージを高めたようだ。
真っ裸で入る銭湯で戸惑いつつも喜んだ!
フランスでも大衆浴場というのはあるらしいが、水着着用の上入浴であるとのこと。はじめは見知らぬ人の前で真っ裸になるのに抵抗を感じたようだが、慣れてしまえばこっちのものとかなりのリラックス具合。ちなみにドイツでは素っ裸で男女共同のサウナが一般的らしいので一度行ってみたい。
アメ村のビジュアル系男子に大興奮!
大阪はアメリカ村をウロウロしているとビジュアル系男子たちが信号待ちをしていた。彼女は再びカメラを手にモジモジしている。ぼくの出番だ。お願いをして記念撮影。何故か、1人のビジュアル系男子はフランス語を話すことができたので、フランス人は「ほえぇ~」と驚いていた。
日本のトイレに興味津々!!
外国人で日本のトイレに感動する人は結構多い。たくさんボタンがあり使い方が分からんとおねぇちゃんに助けを求めていた。自動で流れようものならもう「ほえぇ~~」である。特に彼女が感心していたのは、街中の公衆便所ですらクオリティーの高さを発揮していることだった。彼女の済む街では便座すらないらしい。
高速道路も意外とはしゃぐ!
空港に迎えに行った帰りに高速道路で大阪市内を走ったらテンションを上げていた。どうもゲームの世界へ入ってしまったように感じるようだ。大阪の高速でコレなのだから、首都高など走ろうものならテンションはもっと上がるだろうね。
意外にマクドナルドで喜んだ!
これは意外!マクドナルドなど世界中にあるのだから何も珍しいことなどないと思っていた。しかし、マクドナルドにはその国独特のメニューが幾つかあるらしく、ジャパンテイストのマクドナルドを堪能したかったとのこと。「てりやきマックバーガー」と「えびフィレオ」はフランスにはないようで、可愛らしい顔でガツガツ頬張っていた。
どこでも出てくるおしぼりに感動!
入ったバーでスタッフからおしぼりを手渡される。日本人にとって全くもって当たり前の光景だが彼女は大感激していた。確かにぼくも海外でおしぼり的なものを手渡された記憶が無い。日本がおもてなしの国であるというのは本当なのかもしれない。
清水寺で喜んだ!
定番中の定番である清水寺でも喜んでいた。あまり歴史的なことに関心のない彼女だが清水寺には魅せられたようだ。清水寺でおみくじを引いたのだが結果は凶・・・orz。おみくじに書かれている内容を説明すると、どうやら思い当たることが沢山あるようで結構マジで落ち込んでいる。「燃やしてやる!」と息巻いていたので、木に結べば大丈夫だと伝えると安堵の表情。
コスプレでプリクラに瞳キラキラ!
プリクラは彼女のやりたい事リストに入っていたようで、大きめのゲームセンターに行くことに。そのゲームセンターにはプリクラ専用のフロアがあり、ワンフロア全てがプリクラのマシーンで埋め尽くされている。コスチュームを100円でレンタルできるとのことだったのでフランス人は大はしゃぎ!
おねぇちゃんは女ポリスに、妹はセーラームーンのコスプレとなった。プリクラなど何年も撮っていない少しおっさんなぼくは、コスプレ外国人ネェちゃん達と撮影ゾーンに入ると変な汗が吹き出した。
24時間コンビニエンスストアに喜んだ!
日本のようなコンビニは珍しいようで便利さに感動していた。フランスでは、いわゆるキヨスクのようなお店が一般的らしく夜になると閉店するとのこと。おにぎりの袋を開けることができず、とんでもなく困った顔でこっちに振り向いた。
カレーライスで喜んだ!
意外に思う人もいるかもしれないが、カレーライスはかなりジャパニーズなのである。インドのカレーはもっとサラサラとスープみたいな印象だ。彼女は日本のドロッしたカレーライスを頬張り笑顔であった。
和食の創作料理で喜んだ!
細部にまでこだわる和食の美しさは世界からも評判が高い。彼女もナンテコッタイと写真を撮りまくっていた。ひと通り写真をとったあと「ハラヘッタ~!(漫画で学んだ日本語)」と笑顔でバクバク頬張っていた。和食の味も彼女の舌に合ったらしくご満悦の様子。
たこ焼き・お好み焼きに夢中であった!
海外からの客人ということで実家にも招待した。寿司かお好み焼きかで迷ったが彼女の要望でお好み焼きで饗すことに。ぼくが話しかけても「へっ?なに?」という具合に夢中で食べていた。どうやら気に入ったらしい。ちなみにたこ焼きを食べている時も同じような反応だった。粉物が意外にウケるようだ。
京都で出会った舞妓はんに喜んだ!
京都で、伝統的な着物と独特な化粧を施した舞妓さんを発見するや瞳が輝いた。彼女は喜び勇んで写真を撮っていいかと訪ねに行く。ただ、卒業式の女学生やビジュアル系男子の時とは違い、舞妓さんと一緒にいた方はどうやらヤクザ屋さん(あるいは強面の要人)。う~ん、これは日本人のぼくがお願いするよりホノボノと外国人がお願いした方が角が立つまいと思い、見守ることに。後で、あれは「ヤクザ」だったと思う。と伝えるとえらくビックリしていた。
女子高生の制服に胸がときめいた!
「very Japanese!!」といって大喜びしていた。どうやらアニメ・漫画のイメージも重なるようだ。ただ、とっても短いスカートはあまり好きではないようだ。フランスではミニスカートは遊女のイメージが強いようで、中高生の女の子がワカメちゃんみたいなスカートを履いているのは良い印象ではない模様。ギャルの皆さんがフランスに行く際は気をつけたほうがいいかもしれない。
電車の中で油断丸出しお昼寝中のサラリーマンに喜んだ!
これも新鮮だった模様。彼女の住む地域は特に治安がよろしくないそうで、電車の中で寝てしまうと物を取られてしまうので寝ることなどできないとのこと。日本人にとって電車で寝ることは日常である。口を開いたまま寝ているサラリーマンを見て嬉しそうだった。
カラオケでおおはしゃぎ!
カラオケも日本でやりたい事リストの一つだったようだ。海外ではバーなどにカラオケがあったりするものの、少人数が個室で歌えるカラオケは珍しい。つまり大衆の前で歌わなければならないのだ。確かにかなり気が引ける。梅酒とマイクを握りしめ嬉しそうに歌っていた。
USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)もかなり喜ぶ!
ヨーロッパにはユニバーサル・スタジオはないらしい(詳細は知らない)。しかも彼女はハリー・ポッターの大ファンで、小さい頃から小説も映画も大好きだったものだからもう大はしゃぎである。整理券をもらいにハリー・ポッターエリアの入口に行くも、整理券交換チケット(入場時にもらえる)をなくしたと大騒ぎしていた。ぼくの分をあげると漫画みたいな笑顔で喜んでいた。
酒(日本酒)がイケたようでガブガブいった!
日本酒も彼女の舌にあったようでガブガブ飲んでいた。どうもかなりの酒飲みで、ビール・日本酒・梅酒・ラム・焼酎・その他カクテルを一晩で何杯も飲んでいた。ちなみに梅酒も大好きだった模様である。
ぼくの友だちをぶん殴って喜んだ!!
お酒をガブガブ飲んだその晩、彼女のテンションゲージは振り切ってしまったようでかなりの上機嫌。彼女はカンフー10年、テコンドー3年、空手も少しかじっている生粋のファイターらしくリアルに強い。キックボクシングをしているぼくの友人をぶん殴って大喜びしていた。マジで喧嘩したらぼくなんかはコテンパンにされるだろう。とても美形で可愛い彼女だが強さは半ばないのだ。
居酒屋でのサプライズバースデーケーキに半泣きで喜んだ!
今回の旅行で彼女が一番喜んだことだ。もはや日本人であるだとか、フランス人であるだとか、そんなものは関係ない。結局は人と人との繋がりがもたらす温かみなのである。サプライズをする予定はなかったが、行った居酒屋さんでサプライズケーキがサービスということことだったのでお願いすることに。ハッピーバースデーの音楽とともにケーキが運ばれてくるのをみて半泣きになって喜んでいた。「土間土間アメ村店」さんありがとうございました。
1周間フランス人と時間を共にして思ったことを最後に。
文化や風習の異なる海外へ旅行をするときに、多くの人は世界遺産や有名な観光地巡りに時間を費やす。いいと思う。しかし、いい思い出として記憶に残るのはふと入ったお店や、ツアーでは出会うことのできない現地の人との交流などではないだろうか?
普段、何も気にせず歩いている町並みでも、初めてその国に来た人にとっては十二分に新鮮味のあふれた冒険なのだ。そこで偶然に出会う現地の人との時間や彼らがくれる優しさはいつまでも心にフワフワとありつづける。そういうものではないだろうか。
飛行機のチケットだけとって見知らぬ街を練り歩きたい。その街で偶然出会った人と酒を飲んで色々なことを話したい。予期せぬハプニングに右往左往して疲れたり笑ったりしたい。従来の自由人なぼくに、もはや忘れかけていた想いを掘り返してくれた1週間だった。
合わせていかがでしょう。